サロン・デュ・ショコラ2018では、Yumiko Saimur(Piccola Pasticceria)のショコラは「メタモルフォシ」という新作を買いました。
「メタモルフォシ(metamorfosi)」は、イタリア語で「変身」を意味する言葉。一体、何が変身したかというと、イタリア各地の伝統あるデザート、つまりドルチェがショコラに変身。
連れ合いと半分こしたので、それぞれ1/2個しか食べてないのに、口に入れると、みごとにデザートの味わい。
食べる前は「〇〇風味のチョコレート」を想像していたのですが、口の中がみごとにデザートを食べた口の中になりました。
感激して、その後、日本橋高島屋のアムール・デュ・ショコラででYumikoSaimuraさんに会えたとき
「メタモルフォシを食べました。本当にひとつずつデザートでした!」
とお伝えしたところ、
「日本人がどのくらいイタリアのデザートを知っているかと悩んだけど、これをきっかけにイタリアを知ってもらうのもいいかと思って……」
とおっしゃっていました。
「メタモルフォシ」には「ボネ」「ビャンコマンジャー」「レズッパイングレーゼ」「ティラミス」の4つのデザートが変身したショコラが入っています。
ひとつずつ、どんなデザートで、どんな味だったか、紹介します。
ピエモンテの伝統的デザート「ボネ」
「ボネ」はイタリアのピエモンテ州の伝統的デザートです。
一言で説明すれば、チョコレートプリン。
「メタモルフォシ」に添えられていたイタリア語の説明書によれば、2種類あるらしいですが、一般的なのが、アマレッティ、カカオ、ラムを使うもの。ポピュラーなのが「モンフェッラートのランゲ」地域のものだとか。
Yumiko Saimuraさんが描いたイラストのような型で作られ、その形が帽子に似ていることから、帽子を意味する「ボネ」という名前がついたようです。
名前の「ボネ」はピエモンテ州では「ブネ」に近い発音するみたいですねえ。
※アマレッティとは、マカロンの原型ともいわれているアーモンドパウダーと卵白、砂糖を混ぜて焼いたビスケットのようなお菓子です。
※「モンフェッラートのランゲ」地域としたのですが……わたしが翻訳ツールで翻訳すると、「モンフェッラートのランゲ」地域になるのですが……調べると、モンフェッラートとランゲはトリノ、そう冬季オリンピックが行われた町にほど近い2つの地域を指すみたいで、わたしの翻訳がまちがっていそう。
口に入れたら、驚くほどチョコレートプリン。チョコレートよりも、チョコレートプリン。プリンではなく、チョコレートプリン!
あ、でもボネの材料にはチョコレートは使わないらしいです。ココアとアマレットでチョコレートっぽく感じるみたいです。
わたしがこのドルチェを調べると、エスプレッソ入りが多かったのですが、Yumiko Saimuraさんが作られたものにエスプレッソが入っているかどうか、そこまでわたしの舌では判別できませんでした。
各地で味わいが異なる伝統的デザート「ビャンコマンジャーレ」
ビアンコマンジャーレは、パンナコッタとよく混同される白いプリン状のドルチェです。
「ビアンコマンジャーレ」はイタリア語で「白い食べ物」という意味で、フランス語の「ブラマンジェ」に相当します。
地域によって材料が異なり、北部では乳製品を、南部ではアーモンドミルクを使います。固めるためのでんぷんもいろいろ。
「メタモルフォシ」に添えられていたイタリア語の説明書によれば、アラブ人によってもたらされた料理が、その後デザートに変わったとか。このショコラは、ビアンコマンジャーレの中でもモディカ地域版なんだそうです。
モディカ地域のビアンコマンジャーレの特徴は調べてもわかりませんでしたが、モディカはシチリア島の町ですから、アーモンドミルクを使っているのかな。
ビアンコマンジャーレはミルクの味だけ想像して、口に放り込んだのですが、あま〜いミルキーな味と共に、フルーティな味わいが広がりました。どうやら、ショコラの白いところにオレンジの水玉が散っていたのは、果物だったようですね。
あの果物はなんだったんだろう? オレンジ色だけど柑橘系ではなく、黄桃とかかしら?
シチリア島の伝統的デザート「ズッパ・イングレーゼ」
「ズッパ・イングレーゼ」はイタリアのエミリア・ロマーニャ州やトスカーナ州などで食べられている伝統的デザートです。
アルケルメスという赤い色をした薬草系リキュールに浸したスポンジケーキとカスタードクリーム、チョコレートなどを重ねてあり、液体も多く、軟らかいので、スプーンですくって食べます。
名前は「イギリス風のスープ」とよく訳されています。
なぜ、こう呼ばれるようになったかは諸説あります。「イギリス風」に関してはイギリスから伝わったとも、トスカーナに多く住んでいたイギリス人たちが好んだからとも……。
「スープ」と訳されることが多いですが、ズッパはスープ一般をさす言葉ではなく、液体にパンをひたしたものを指します。スープにパンを浸した場合も、リキュールなどに浸した場合もあります。
YumikoSaimuraさんの描いたイラストは、ズッパ・イングレーゼそのものではなく、ズッパ・イングレーゼを入れた器かしら?
「ズッパ・イングレーゼ」を口に入れると、甘いリキュールの味とカスタードの味が押し寄せてきました。
20世紀後半に誕生したイタリアでも日本でも有名なデザート「ティラミス」
ティラミスは説明するまでもないほど、日本で一番有名なイタリアのデザートですね。イタリアでも歴史は浅く、「メタモルフォシ」に添えられていたイタリア語の説明書にも20世紀後半に登場したデザートと説明されています。
フィンガービスケットまたはスポンジケーキと、マスカルポーネチーズ、コーヒーで作られています。
ティラミスという名前は、直訳すると「わたしを上に引き上げて」ですが、要するに「わたしの気分を上げて!」ということで、カロリーが高いマスカルポーネやカフェインが元気を引き出すデザートです。
ティラミスは口に入れてみると、コーヒーの香りで酔ってしまう体質のわたしは、エスプレッソの本格的なコーヒーの味と香りに負けて、デザートを味わうところまで行きませんでした。